▼『給料を上げると収益に響く、そうならないように生産性を高めよう』。テレビでよく聞く話である。意味はよく分かるし、生産性の向上に常に取り組んでいるのは我が産業でも同じだ。ただ生産性を上げれば段ボール箱は安く作れる一面がある。今は昔に比べ2倍近い速度で精度の高い箱が作られている。良いマシンを入れて儲かれば『人や次への投資に回せばいい』ものを段ボール業界のいけない所は、安く作れると安易に安く売ってしまう会社がある事だ。
▼〝会社の適正なる利益〟は各社で異なる。持つ設備から全て違うのだから、ひと箱にかかるコストも大手とボックスでは大きな開きがある。たとえ償却が終わった機械を使っているボックスがあっても、ここが安く拡販に走る事はまず無いはずだ。一部大手に見られる『うちはそれでも利益が出る』的な考え方で量を増やす行為は、全体の向上を思えばやるべきでは無い。『自分さえ良ければいい』は、必ず自分に巡ってくる。やった事はやり返される。まして荒らした地域に荒れた価格が残ったら…。地場で家業を守っている中小・ボックスがある事を忘れてはならない。
▼値上げもほぼ終了し期待されるのは需要動向だ。『仮需があったから』『値上がりで買い控え』など、食品よりも日用品などの落ち込みが大きそう。4月から一段と落ちた会社も。なお大手段メーカー3月の生産量を見ると、一貫系□2社がともに101%、最低は一貫△の長男格で95%。それでも大手の数字は中小よりもだいぶ良さそうだ。 (山)